2012年5月13日(日)13時〜17時 @東京都新宿区歌舞伎町 の開催風景

 

 風俗嬢をはじめとするセックスワーク当事者(異性愛&同性愛)の方、経営者の方、
 セクシュアルマイノリティの方、ワーカー支援団体のメンバー、大学教員・研究者・院生の方、
 雑誌記者・ライターの方、テレビ局の方、障害当事者の方、セックスワーク関連書籍の著者の方、
 AVメーカーの方など、多くの皆様にご参加頂きました。

 

 テーマは、「セックスワークの社会化」。

 これからのセックスワークのグランドデザイン=セックスワーク「3.0」のビジョンを
 ホワイトハンズが発表し、それについて参加者の皆様と議論をする、という形で進行いたしました。

 まず、参加者の皆様お一人ずつに、自己紹介をして頂きました。これが、非常に濃い&熱い!
 自己紹介だけで一冊の本が書けるのでは、と思わされました。


 

 その後、ホワイトハンズが「セックスワークの現状分析+社会化のためのスローガン」を発表。
 それに続いて、参加者の皆様お一人ずつに、「これからのセックスワークの在り方」を、5分ずつ発表して頂きました。

 そして、この発表もまた、非常に熱い&濃い!皆さん、知識&経験の引き出しが、とんでもなく多すぎです。
 この発表だけで、新書が2〜3冊分書けるのでは、と思わされました。

 

 発表で出た論点を、一部紹介します。

●風俗嬢の職業意識の幅は、非常に広く、どのような意識で働いているのか、を一概に語ることは困難。

●職業意識の高い人は、自力で何でもできるが、低い人に関しては、何らかのサポートが必要だと思われる。
 財形や保険の知識など、働いていく上で、一般的な社会常識を教えることが必要。

●このサミットに来ているようなセックスワーカーの人は、一部のインテリ&エリート層であろう。
 問題は、このサミットに来られない&そもそも来ようとも思わない、収入面でも、心身の健康面でも、労働環境面でも、底辺にいる人たちである。

●「3.0」の世界では、そうした人に対して、「そもそも、初めからセックスワークの世界に入ってこられないように、
 参入障壁を築け」と切り捨ててしまっているが、それでは批判は免れないだろう。何らかの形で、そうした人たちへの救済策を講じるべき。

●「人前で、女性が裸になる行為」を社会化するのは、一部の例外を除いて、そもそも不可能。
 「社会化できない中で、どれだけ改善していけるか」が、本当の論点では無いだろうか。

●風俗嬢をはじめ、セックスワーカーの社会的認知度・信頼度を向上させていくためには、
 「アイコン」=ロールモデルとなるような個人が必要。この世界に参入してくる人たちから、
 「あの人みたいになりたい!」と思われるような存在の個人をつくるべき。

●AV(アダルトビデオ)の世界では、既に「3.0」の世界は実現している。
 いわゆるトップクラスのAV女優の中に、一昔前のような「精神的に病んでいる子」「学歴の無い子」
 「社会に自分の居場所が無い子」はいない。高卒や大卒で、他にも居場所があるにもかかわらず、
 自分の意思で、高い好奇心とモチベーションを持って参入し、一生懸命頑張る子がほとんど。

●というよりも、もはやそういう女性でなければ、AVの世界では仕事が無い。
 プロダクションやメーカーでの選別過程で、そういうレベルの高い女性でなければ、そもそも採用されないようになっている。

●セックスワークの運営主体を、不良=アウトロー的な属性の人間から、一般人に変えれば、女性の報酬取り分は、もう少し多くなるかもしれない。

 

●吉原をはじめ、セックスワークの世界には、「反社会の中の社会」とも呼ぶべき、それなりの秩序=「負の社会性」がある。
 その中に長年安住していると、世間一般の感覚とはずれてしまうかもしれない。

●これからは、「兼業型風俗嬢」が主流になる、というか、既になっていると思う。
 専業型風俗嬢は、一般常識や社会性の欠如から、長続きしない場合が多い。

●いくつかの業態を掛け持ちしているが、自分の中で積極的に取り組みたい「やりがい重視」の業態と、
 あまりやりたくはないのだが、お金になるのでやらざるを得ない「生活重視」の業態があって、悩んでいる。
 顧客のニーズが、「やりがい重視」の業態の方に向いてくれれば良いのだが・・・。

●一部の性風俗の世界でも、「3.0」の世界は、既に実現している。
 ただ、男性側が、それに気づいていないだけ。セックスワークに対する、男性側の理解度を上げることが大切!

●セックスワークは、女性にとっての「敗者復活」の場。
 AVのように、「3.0」化で、一部の選ばれた女性しか稼げない世界になってしまったら、
 「敗者復活」ができずに、そのまま沈没してしまう女性が、大量に生み出される結果になるのでは?

●「社会性が無いからこそ、セックスワークの世界の居心地が良い」という層も、少なからず存在するはず。
 社会化してしまったら、そうした層はどうなる?

 

●これからのセックスワークの世界には、10代〜20代の若い女性ではなく、「M字雇用の2つ目の山」=30代以降の女性に参入してきてほしい。
 結婚を通した性生活の経験があるという点、それなりの社会経験があるという点、
 育児や介護で排泄等のケアに慣れている、という点で有利であるし、パートタイムで働くことができるので、生活費の足しにもなるはず。

●ただ、そうした女性が実際に働く際には、「世間体」という大きな壁がある。
 その壁をなんとかできるような、新しいセックスワークの業態・サービス内容を打ち出せればいいのでは。

●これからのセックスワークは、「個人営業」の世界に向かうと思う。
 出会いカフェなどが、そうした個人営業のインフラになればいいのだが、規制の影響で店舗数をこれ以上増やせないなど、いくつかの課題がある。
 安全に個人営業を行えるようなインフラを整備することが大切ではないだろうか。

●「セックスワーク」と一言で語ってしまいがちだが、発言者の立場や属性によって、その言葉の意味は、大きく異なる。
 セックスワークについて議論する前提として、その言葉の持つ多様性に敏感であるべき。

●セックスワークで働くことによって、救われる人もいる。そして、それは女性側だけではなく、
 客側の男性もそうだ。女性と客の「相互救済」という役割がある、という側面も忘れてはいけないだろう。

・・・などなど、この他にも、数多くの論点・意見・提案を出して頂きました。


 

 参加者の皆様には、議論の際のおつまみとして、新潟名物のお菓子「朱鷺の子」をお配りしました。

 

 セックスワーク関連イベントの告知チラシの配布も、受付にて行いました。
 休憩時間中は、参加者の皆様同士で、名刺交換&挨拶の嵐・嵐・嵐!皆さん、非常にアクティヴです!!

 今回のサミットが、セックスワークに関する研究調査・情報交換・人脈作りの場になれば幸いです。

 

 終了後、地元にお住いの参加者の方が紹介してくださったお店で、懇親会を行いました。


 サミット参加者の感想(一部を抜粋して掲載)


 出来れば、もっと話したかった!



 今日はいろんな人のご意見やお話を聞けて大変有意義でした。

 性に関する社会のかたちや状況が具体化していくのが一つ、全体から個に向かうこと、

 個の問題と成功例など、モデリングのやり方を考えるよいきっかけでした。また参加したいです。



 テーマが広いんだなー!と思いました。様々な立場から、様々な意見があって、

 もっと深く知りたいこともあり、短く感じるくらいでした。



 セックスワーク・サミットに今回参加できて、大変刺激的かつ勉強になりました。参加できてよかったです。

 参加人数もちょうどよかったと思います。今回はセックスワーク「3.0」ということで、大変根本的かつ大きなテーマ

 だったので、次回からはひとつひとつ個別に議論していけたらと思います。

 他国との比較などもできれば、と思います。



 資料をながめると、すでに完成している話だと思いました。あとは開始するだけ、と思いました。

 公費、介護の話になっていましたが、それはちょっと不可能じゃないでしょうか?

 セックスワークは、すでにいろいろなところで3.0化しているので、なにが問題なのか、よく分からない部分が

 多かったです。



 いろいろな立場の参加者のお話を聞けて、とても勉強になりました。

 女の裸は、男を勃起させるためにあるので、この部分は大切にしてあげてください。



 今回は風俗ユーザー&経営者として参加させていただきました。

 多方面の方はそれぞれの立場からの貴重な意見はとても勉強になりました。

 僕は同性愛者のセックスワークは完全に盲点になっていたので、とても新鮮な感覚でしたね

 SEXは恋人間、夫婦間で営われるべき愛情表現??って感じの倫理感が支配して以上、

 いくら、知識やスキルを売るだの言っても、女性の体に触れる行為があったら社会性は持てないと思うな。

 恋人でもない夫婦でもない異性の体にふれるってのは、あきらかに不自然な行為だと思うからねぇ。

 社会性を持たせるならばそういうことが必要な男性には、恋人の作り方を学んでもらう、

 ヌードデッサンなどの視覚効果で満足してもらうことかな。

 男性からすればすごいつまらなそうな環境だけど、社会から認知してもらうには、

 これくらいじゃないとダメなんじゃないかな。

 だから・・・。もう社会性はあきらめて、現行の風俗の環境の中で、

 いかに男性と女性がWIN×WINの関係になれるかを模索していきます。



 大変よかったです。一人一人ともっと話ができたらよかった。又、機会がありましたら参加したいです。

 障害を持つ当事者としてはありがたいことと思いました。



 様々な分野の方々とのご縁は貴重なものだと思いました。

 もう少し掘り下げた「現場に近い」お話ができれば良いかと思います。



 性的サービスをするのは女性で、サービスを受けるのは男性である、という固定観念が強い方が多い事に

 違和感を感じました。

 ウリセンは元ワーカーが経営してるので、居心地も良く上手くいっている場合が多いです。

 ワーカーが、疫学的にも社会的にもメリット・デメリット、リスクを理解して働け、利用者も良いマナーが

 伝わればと思います。

 また広く一般に性の健康と権利の共有される事を願います。



 様々な立場の人間が一堂に会して、もちろん論点はそれぞれ違うものの、非常に有意義な時間でした。

 新しい世界に少しずつシフトしていくよう、議論・学び・実践を重ねていきたいです。



 「セックスワーク・サミット2012@歌舞伎町」、参加者の皆様のおかげで、大盛況のうちに終了することができました。
 「3.0」の世界、少しはその片鱗が見えてきたような気がします。

 セックスワークに関する議論・情報交換・発表をするインフラとして、サミット、今後も全国各地で、定期的に開催していきたいと思います。

 これからのセックスワークのグランドデザイン=「3.0」の世界に関する議論はひとまず終わったので、
 次回以降、業態別・テーマ別の個別具体的な議論に進んでいきたいと考えております。

 ご興味のある方は、ぜひ!お気軽にご参加ください。


●サミットの資料・・・希望者の方向けに、一般販売しております。

 

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